「自分力を高める」(今北純一)

ミッション・ヴィジョン・パッションを大切に

「自分力を高める」(今北純一)岩波ジュニア新書

何か子どもたちに紹介する本で、
生き方の指針になるような
一冊はないか?
かれこれ6年前、
そんな思いで探していたとき、
目についたのが本書です。

読んだ当時、実は
本書を子どもたちに薦めることに、
あまり自信が持てませんでした。
なぜなら
「中学時代はごく普通の生徒…
 高校に進学してからは、
 勉強をやればやるほど
 成績がどんどん
 上がるようになり…
 こうして
 東京大学の理Ⅰに入った…」と、
筆者の学生時代の履歴が
あまりにも優秀すぎるからです。
有益なことが
数多く書かれているのですが、
「それは東大を出るくらい
頭がいいからでしょ」と
曲がった受け止め方を
されるのではないかと
不安になりました。

杞憂でした。
ブックセイリングという
課題読書活動の一冊として
紹介したところ、
子どもたちは本書から
期待以上に多くのものを
吸収していきました。

それから5年経ち、
改めて本書を再読すると、
子ども以上に、
50を越えた私自身が
考えさせられるべき点の
多々あることに気付きました。
書いてあることに
特に目新しい点があるわけでは
ないにもかかわらず、
それぞれに説得力があるのです。

「ある程度の収入やポジションが
 保障されていたとしても、
 人間というのは、
 それだけでは充足感が
 得られるわけでは
 ないと思うのです。」
多くの人に言い尽くされている
感がある一言ですが、
それがなお新鮮みを持って響くのは、
その前後に書かれている著者の経歴です。
著者は多額の年金が保障された
フランスの企業での地位を捨て、
自分自身のさらなる成長を求め、
53歳にして
他社への転職に踏み切ったのです。

「『英語を使えること=グローバル化』
 というのは大いなる幻想です。」

こちらも同様に、
英語が得意な
東大生であったにもかかわらず
自分の英語が相手に伝わらない経験と、
なりふり構わず伝えようとしたら
伝わった経験との
両方が語られているからこそ
納得されられるのだと思います。

さて、
5年前の子どもたちが
感銘を受けた一文が、
「MVPで夢をかなえる」。
Mはミッション。
自分がチャレンジすべき夢や目標。
Vはヴィジョン。
そのための方法や見通しを
明確に持つこと。
Pはパッション。
夢をとことん
本気で追いかけるエネルギー。
著者ほどの才覚は私にはありませんが、
MVPを大切に、
自分力を高めていこうと思います。

(2019.3.6)

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